乳房MRI検査についての注意事項
次のような方はMRI検査を受けれられないことがあります。
- 心臓ペースメーカーが埋め込まれている方
- 人工内耳、人工中耳の方
- 血管へのステント挿入手術を8週間以内に受けられた方
- 古い(20年以上前の)人工心臓弁の手術を受けられている方
- 眼に微細な金属片が入っている(または入っていると疑わしい方)
- チタン製以外の脳動脈瘤クリップが入っている方
- 金属の義眼底の方
- 骨折によりボルト固定がされたままの方
- 躯幹全体に入墨のある方
- 妊娠3ヶ月以内(または妊娠が疑わしい方)
乳房MRI造影剤について注意事項
乳房MRI検査の際はガドリニウム製剤を造影剤として、静脈内に注射します。腎機能が正常であれば、注射後6時間で80%以上が腎臓から尿として排泄され、やがて全てが体外に排泄されます。
誰にでも起こりうるガドリニウム造影剤の副作用について
食べ物で蕁麻疹(じんましん)、薬で発疹が出たことがある、アトピー性皮膚炎などのいわゆるアレルギー体質の方は副作用を生じる可能性がアレルギーのない方と比べ3.8倍多いといわれています。また、気管支喘息の方は、そうでない方に比べ、副作用を生じる可能性が約1.5倍多いといわれており、重篤な副作用が生じることがあるとされています。
また、以前CT検査等の時に投与されるヨード造影剤で具合が悪くなったことがある方も2.7倍、ガドリニウム造影剤で具合が悪くなったことがある方は、8倍以上も多い頻度で副作用が生じる可能性があるといわれています。腎臓の機能に障害のある方も腎臓からの排泄が遅くなり、とくに透析をされている方やとても重い腎臓の病気の方には、極めてまれではありますが、皮膚が硬くなり、腕や足が曲がらなくなる病気になる可能性があります。次に該当する方は造影検査の際に主治医と画像診断部の担当医にお知らせ下さい。
以前、造影剤で具合が悪くなったことがある。
気管支喘息やアレルギー体質である。
重い腎臓の病気がある。
ガドリニウム造影剤の危険性について
ガドリニウム造影剤は副作用の少ない薬であることが知られておりますが、それでも全く危険性をなくすことはできません。軽微な副作用を含めて、1〜2%の患者さんに何らかの副作用が生じます。ほとんどは気分が悪くなったり、じんま疹が出たり、顔がほてったりといった一時的な、すぐ治るものです。しかし、まれに冷や汗がでたり、胸が苦しくなったりすることがあります。
また、約1.9万人に1人程度の割合で、ショックなどの重篤な副作用を生じることがあり、83万例に1人程度の割合で、死に至ることがあります。重篤な副作用の場合は後遺症の残る可能性もあり、入院での治療や手術が必要となることがあります。
このほか、血管外に造影剤がもれることがあります。この場合には、注射した部位がはれて、痛みを伴うこともあります。基本的には時間がたてば、吸収されて心配ありません。もれた量が非常に多い場合には、別の処置が必要となることもありますが、非常にまれです。
緊急時の対応について
検査中は担当技師がモニター上で検査室内の様子を絶えずチェックしています。また、画像診断の担当医と看護師が施設内におりますので、何かあればすぐに対処します。異常を感じられたら直ちにブザーにてお知らせ下さい。予期せぬ事態に対しては、画像診断の担当医と主治医が最善の対処をいたします。
帰宅された後に何か異常があらわれた場合には、すぐに受診された医療機関にご連絡ください。
その際、いつ造影剤を注射されたかを忘れずにお話し下さい。